【アーティスト紹介 Vol.15】伊藤 辰哉さん -ピアニスト

船橋にゆかりのある音楽家をご紹介。第15弾は年間200件を超えるステージに出演する超多忙なピアニスト、伊藤 辰哉(いとう たつや)さんにお話を伺いました。

年間200件のステージに出演する、天然パーの気さくなピアニスト

ふなおん

本日はよろしくお願いします。はじめに伊藤さんと船橋とのつながりを教えてください。
生まれは船橋です。自分は記憶に無いのですが、1歳くらいの時に海老川が氾濫して家が水浸しになったという話を母から聞いています。そのあとは隣の鎌ヶ谷市で育ったのですが、結婚を機に5年ほど前にまた船橋に戻ってきました。

伊藤さん

ふなおん

伊藤さんは様々な歌手や音楽グループと共演されていると聞いています。どのようなお仕事をされているのですか?
専門学校を卒業してから基本的にサポートミュージシャンとして活動しています。みなさんご存知のところでは、荻野目洋子さんのバンドマスターを担当したり、クリスハートさんのバックバンドで演奏していました。依頼があればジャンルは問わず何でも弾くので、ポップス・ジャズ・ロック・シャンソン・演歌・ミュージカル・即興演奏と、様々な音楽に携わってきました。年間200件以上のステージに出演しています。

そのほかに、ヤマハ音楽教室で講師としての仕事もしています。

伊藤さん

ふなおん

年間200件とはすごいですね!それに加えて講師業もとなるとスケジュール管理だけでも大変そうですが、マネージャーの方などはいらっしゃるのですか?
営業やギャラの交渉も含めて全て一人でやっています。月に15本前後のステージがあり、リハーサルなども含めると確かにスケジュールはびっしり埋まっています。ただ、このスタイルで10年近くやってきているので、もう慣れてしまってさほど苦労は感じません。

伊藤さん

ふなおん

伊藤さんは髪型が大変特徴的ですが、パーマをかけていらっしゃるんですか?
いえ、天然パーマです(笑)手入れをしてなくても起きた直後から大体こんな感じです。アメリカに演奏に行った時も天パーだと伝えると「Wonderful!」なんて言われて。世界に通用するヘアースタイルだと自負しています。

伊藤さん

1つ1つの出会いを大切に紡ぎ、出番の絶えないピアニストに

ふなおん

伊藤さんと音楽との出会いを教えてください。
母の影響です。母は幼少の頃から独学でピアノを学び、学校の行事でも演奏していたそうです。子供にはちゃんと習わせたいとの想いで3歳からヤマハ音楽教室に通わせてくれて、そこでエレクトーンと出会いました。

小学校から高校までは吹奏楽部に所属していましたが、その間もずっとヤマハには通っていて、専門学校もヤマハ音楽院に通いました。今もヤマハで教えているので、ヤマハとは切っても切れない人生を歩んでいますね(笑)

専門学校でもエレクトーンを専攻していて、副科でピアノを勉強しました。

伊藤さん

ふなおん

ずっとエレクトーンを勉強されていたということは、今のお仕事もキーボードやシンセサイザーなどエレキ系がメインですか?
いえ、専門学校時代にピアノに心がどんどん傾いていって、卒業後はピアノを中心とした活動になりました。小さい頃から生のピアノの音は大好きだったんです。小学校の音楽室のグランドピアノを弾いたのがきっかけだったのですが、筐体を反響して伝わってくる響きがたまらなくて、休み時間になると音楽室でずーっとピアノを弾いていました。

伊藤さん

ふなおん

年間200件ものステージに出演するほどの売れっ子になるまで、どのようなステップで営業活動などしていったのでしょうか?
私はライブハウスで育ったミュージシャンなんですが、ライブで一緒になった人が別のライブの時に声をかけてくれて、次のライブで知り合った別の人がまた声をかけてくれて…といった流れでだんだん仕事が増えていきました。

伊藤さん

ふなおん

紹介でどんどん仕事が増えていくというのは理想的なパターンですが、誰でもできることではないですよね。仕事先で出会った人がまた次も、と伊藤さんに声をかけてくれるは何故だと思いますか?
かゆいところに手が届く、というのが自分の良さなのかなと思っています。それは演奏の際に相手のフィーリングに合わせることができるのはもちろんですし、持ち前の人当たりの良さも手伝ってくれているんだと思います。あと、この髪型ですぐ覚えてもらえる(笑)

伊藤さん

ふなおん

船橋ゆかりの音楽家の中では、マリンバ奏者の宮野下シリュウさんとの親交が深いそうですが、お二人の出会いも仕事現場を通じてだったのでしょうか?
はい。親交の深かった新鎌ヶ谷のライブハウスを通じて2016年に知り合いました。当初は単発でのステージだったのですが、とてもフィーリングが会うので「KEYsiDE(キーサイド)」というユニット名で定期的に活動するようになりました。彼とのユニットなら自分の思ったものを責任を持って表現できると感じたんです。名前を持つと、持たないとでは、大きく違いますからね。

伊藤さん

自分の心に正直に、1ヶ月半の育休も取得

ふなおん

昨年秋にお子さんが産まれるタイミングで育休を取ったとお聞きしています。どのような心境で育休取得の決断をされたのでしょうか?
出産予定日の1ヶ月前から2週間後まで、合計1ヶ月半程度のお休み期間を設け、その間のお仕事の依頼は全てお断りさせて頂きました。

出産は妻はもちろん自分にとっても一大イベントなので、それを最優先にするというのは当たり前という感覚でした。出産は事前にだいたいの予定は分かるし、フリーランスとして活動しているので予定は自分次第なところも大きいので、育休取得にあたっては特に苦労を感じることはありませんでした。

伊藤さん

ふなおん

フリーランスだからこそ休業補償が十分でないことや、また一旦仕事を手放してしまうことで復帰後の仕事が無くなってしまうことなど、不安は感じなかったのでしょうか?
不安は特に感じませんでした。これまでの仕事が1つの環境ではなく、組む人がどんどんアップデートされてきたという経験が大きいのかも知れません。待っててくれる人はきっといるだろうし、離れてしまう人がいればそれはそれで仕方ないかな、と。

本当に困ったら周りに助けを求めます。もし私の目の届く範囲で助けを求める人がいたら、自分はきっとその人に手を差し伸べます。だから周りの人もきっと自分に手を差し伸べてくれるんじゃ無いかと思えるんです。変な自信ですね(笑)

また、私にとっては「音楽をする」ことが最優先なんです。だからもし音楽で食えなくなったとしても、バイトをしながらでも音楽は続けられるからまあいいかな、と。音楽で食べていくことに固執していないんです。

伊藤さん

ふなおん

お話を聞いていると、伊藤さんはとても優しさに満ちた人だと感じます。恵まれた環境で育った人がそういった考えに至りやすいのかなとも思うのですが、ご自身が育ってきた環境がそんな心境にさせていると思いますか?
恵まれた環境で育ったのかと言われると、そんなことはないと思います。父は小さい頃に他界してしまったので、私は母子家庭で育ちました。

ただ、母は私にものすごく愛情を注いでくれた。生活に苦労を感じたことはなかったし、音楽をはじめとしてやりたいことは何でもやらせてもらえました。親がずっと自分を助けてくれた経験が、今の自分の礎となっていることは間違いありません。

伊藤さん

ふなおん

音楽で食べていくことにこだわりがない、というのも意外に思います。プロミュージシャンの中には「無料での演奏は絶対に引き受けるな」とおっしゃる方もいます。それについてはどう考えますか?
私は出演するステージを決める時に、自分の《心》が動くかどうかを大事にしています。つい先日、お世話になっている柏のライブハウスの配信ライブに参加しました。そこで得た収益は全部ライブハウスに寄付したのでノーギャラのステージでしたが、コロナ禍でお世話になっているライブハウスが苦境に立たされているなら、それに協力するのは当然だという気持ちでした。音楽は心の余裕がないとできないものだろうとも思っています。

伊藤さん

船橋への想いと今後の展望

ふなおん

伊藤さんが思う船橋の良いところ・もっとこうだったら良いのにというポイントを教えてください。
住民としては、とても便利で住みやすい街だなと感じています。飲食店のバラエティも豊かで、個人的に通っているお店も何件もあります。

その一方で音楽家の立場から見ると、ライブハウスや手ごろなサイズのホールなど、演奏できる場所が少ないように感じます。文化的な要素がもうちょっとあっても良いのではと思いますね。

伊藤さん

ふなおん

最後に、今後の伊藤さんの展望をお聞かせください。
これまでずっとサポートミュージシャンとして「誰かのため」の演奏をしてきました。今後はもう少し自分の色を出してみようかなと思っています。

誰かの音楽に寄り添う時に、私は相手に溶け込むような感覚で演奏をしています。そのおかげで沢山のお仕事も頂けていますが、その一方で自分と向き合うのを疎かにしていたので、自分が本来好きだった/やりたかった音楽が見えなくなっている部分もあったかもしれません。

新型コロナウイルスに伴う自粛期間を、自分と向き合うのにちょうど良い機会だったと捉え、伊藤辰哉にしか出せないサウンドを探究していけたらと思っています。

また地域での活動としてはご縁があってこれまで柏でのイベントには色々と参加してきました。船橋はまだこれから開拓という段階なので、今後の広がりを楽しみにしています。

伊藤さん

伊藤辰哉 – ピアニスト

 

千葉県船橋市出身。

 

幼少より電子オルガンに触れ音楽の知識を学び、現在はピアニストとしてポップス・ジャズ・ロック・シャンソン・演歌・ミュージカル・即興演奏など、ジャンルに捉われない演奏スタイルで毎年200本以上のステージに参加。【心が動く音楽】をテーマに演奏に向き合う日々を送る。サウンドをまとめ彩る「バンドマスター」としても高い評価を得る。

 

弾いて、歌って、真剣に遊ぶ。ピアノとマリンバのユニット『KEYsiDE』を結成。自身のオリジナル作品作りにも力を注いでいる。

 

1児の父として、絶賛子育て中!子育て楽しい!!

 


 


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