【アーティスト紹介 Vol.24】池田 和花奈 さん – 箏奏者

船橋にゆかりのある音楽家をご紹介。第24弾は、箏の演奏者ならびに指導者として活躍する、池田 和花奈(いけだ わかな)さんにお話を伺いました。

※内容はインタビュー(2021年7月)時点のものとなります

Youtebeでも話題の船橋育ちの箏奏者

ーはじめに、池田さんと船橋とのつながりを教えてください。

出身は茨城なのですが、小学校3年生の頃に船橋に引っ越してきて、それ以来ずっと船橋市民です。法典西小学校〜行田中学校の出身です。2018年には、船橋市内でお箏の教室も開きました。

池田さん

ー演奏者としての活動は?

コロナ禍でどうしても人前での演奏の機会は少なくなってしまいましたが、それまでは様々なパーティーや訪問演奏などでの演奏機会がありました。船橋市内では、成人式の企画ステージで演奏したり、船橋市役所や船橋アリーナのロビーコンサートにも出演させて頂きました。

池田さん

ーYoutube等での演奏活動にも積極的だと聞いています。

東京藝術大学邦楽科卒業生で結成された「和楽器アンサンブル真秀(まほら)」というグループの一員としても演奏活動に取り組んでいます。こちらのグループは和楽器の魅力をより多くの人に伝えたいという考えの下、和楽器を使ったポップス演奏などにも積極的にチャレンジしています。

私は2020年からの参加なのでまだ活動歴は浅いのですが、こちらのグループの演奏動画はYoutubeでの再生回数が1,000万回を突破しています。

池田さん

家族からの熱心なサポートを受けて音楽の道へ

ー池田さんと音楽との出会いは?

祖母がお箏の先生だったので、4歳から自然とお箏を習い始めました。祖母は80歳を超えた今でも現役バリバリの箏奏者です。祖母には高校に入るまで箏を教わっていました。

池田さん

ー箏を演奏される方は三味線も演奏できるのが基本と聞きました。

その通りです。私も中学生から箏と並行して三味線を学びました。その他にも十七弦の箏を演奏したり、地唄も歌います。

池田さん

ー和楽器以外の楽器にも取り組んだことはありますか?

行田中学校では管弦楽部に所属してバイオリンを弾いていました。今思えば、自分の感覚のみで弦を押さえて音程を作らなければならないところは、三味線とも共通点がありましたね。

池田さん

ー音楽家の道を志したのはいつ頃でしたか?

中学生の頃、東京芸術大学附属高校を目指すと決めた時には、将来音楽家になるのだという気持ちを抱いていました。

池田さん

ーそのきっかけは?

父からの勧めでした。音楽を専門で学べる高校があるから行ってみないか?と。私の両親は特に音楽をやっていたわけではないのですが、祖母がお箏の先生だったので、誰かに跡を継いで欲しいという想いがどこかにあったのかも知れません。
東京芸術大学附属高校を目指すと決めてからは、両親は全力で私のサポートをしてくれました。受験に必要な聴音や楽典などの科目については、両親も一緒に勉強してくれて。私のやりたいことを全力で応援してくれたのが本当に嬉しかったです。

そんな両親からのサポートもあって、無事に東京芸術大学附属高校に合格することができました。

池田さん

音楽漬けの高校〜大学時代

ー高校生活はいかがですか?

東京芸術大学附属高校では、様々な音楽をやる人たちが1つのクラスとして過ごすんです。歌の人もいるし器楽の人もいるし、クラシック音楽の人もいるし邦楽の人もいるし、といった具合に。そんな環境で3年間ずっと過ごすので、非常に刺激の多い毎日でした。

池田さん

ー高校時代に特に印象的だったことは?

学校の定期演奏会での旧東京音楽学校奏楽堂での舞台が特に印象に残っています。合唱団の一員としてオーケストラと演奏したり、和楽器と他ジャンルの音楽とでコラボしたり、本当に楽しかったです。

池田さん

ー大学はそのまま東京芸術大学に?

はい。東京芸術大学邦楽科に進みました。大学は高校の隣ですし、高校生の頃から大学の邦楽の先生に教わったりしていたので、場所や音楽環境はそこまで大きく変わりませんでした。

ただ大学生になると、掃除のやり方を先輩に教わるなど、縦の繋がりの強さや邦楽独特のしきたりをより一層意識するようになりました。

池田さん

ー大学時代は演奏活動にもたくさん取り組んだのですか?

学外での演奏については制限が厳しかったので、機会は決して多くありませんでした。大学1年生の間は学外で演奏することは禁止されていましたし、大学2年以降も学校への届出が必要でした。

池田さん

ー大学時代に特に印象的だったことは?

大きく2つあります。1つがロシアでの演奏したこと。

大学の授業の1つとして「アントレプレーヌ」というものがありました。ロシアのサンクトペテルブルク音楽院で演奏することは決められているのですが、そこに至るまでの一切の工程を自分たちで準備しなければならないというプログラムなのです。

苦労ももちろんありましたが、無事に現地で演奏することができて非常に評判がよかったです。外国のお客様に、日本では少し敷居が高いと感じられるような古典曲の方が、逆に人気が高いという新たな発見もありました。

池田さん

ーもう1つは?

大学院で修士論文を書き上げたことです。

ずっと音楽一筋で来たので論文の書き方など全くわからず本当に大変でしたが、明治から大正にかけて活躍した邦楽家の松阪春栄さんをテーマとした論文を書き上げました。論文のために京都の松阪春栄さんゆかりの地も巡ったりしました。

論文も書き上げたうえで、松阪春栄さんの作曲した「楓の花」という曲を演奏する機会も頂いたので、より深い表現まで追求することができたのではないかと感じています。

池田さん

邦楽の普及を目指して

ー指導者としての活動にも精力的に取り組まれていると聞きました。

筑波大学の邦楽部での講師を務めています。「この音とまれ!」というアニメの影響もあってか、ありがたいことに箏を始めたいという若い人が増えているようなんです。こちらの部活は文化祭や卒業演奏会などに取り組んでいます。

その他、最初にお話ししたように、2018年に船橋市内で教室を開きました。お弟子さんは40〜50代の方が多いです。

池田さん

ー指導者としての目標は?

お弟子さんたちとの演奏会を作り上げるのが目標の一つです。そのためにもみなさんの上達を精一杯サポートしていかねばと思っています。

池田さん

ー「和楽器アンサンブル真秀(まほら)」での活動について教えてください

狐のお面を被って和楽器で「紅(X JAPAN)」や「勝手にシンドバッド(サザンオールスターズ)」などのポップスを演奏するという、ちょっと珍しいアンサンブル団体です。グループは2016年結成で、私は大学の先輩からのお声がけで2020年から加入しました。

邦楽はお堅く近寄り難いイメージを持たれがちなので、まずは楽器に興味を持ってもらいたいと、見た目や選曲にこだわっているグループです。

池田さん

ー伝統を重んじる邦楽の世界で、かなり挑戦的な取り組みですね。

賛否両論あるというのが正直なところですが(笑)、まずは祖母が「何でもやってみなさい」と活動に理解を示してくれているので良かったです。

とにかく興味を持ってもらわないと邦楽自体がどんどん廃れていってしまうと思うので、真秀での活動に限らず裾野を広げる活動には積極的に取り組んでいきたいです。

また、決して古典を軽んじているわけでなく、邦楽で大切なことはすべて古典に詰まっていると思っています。そのため、ポップスをやりたいと言うお弟子さんにも、まずは古典をしっかり練習してもらっています。古典でしっかり良い音を出せないと、ポップスの演奏は難しいです。

池田さん

船橋への想いと今後の展望

ー池田さんが思う船橋の良いところ・もっとこうだったら良いのにというポイントを教えてください。

交通の便が良い割に自然も豊かで、本当に良い街だと思っています。最近一人暮らしを始めたのですが、船橋が大好きなので西船橋を選びました(笑)

また、音楽活動が盛んなところも本当に良いと思います。プロアマの垣根を超えて音楽を愛する人たちが交流できるような場があるともっと良いなぁと思いますね。

池田さん

ー最後に、今後の池田さんの展望をお聞かせください。

お箏の良さをより身近に感じられる機会を作っていきたいと思っています。例えば市内での演奏機会を増やしたり、他ジャンルの人とコラボレーションしてみたり。

その際にはぜひお箏を体験できるワークショップみたいなこともやってみたいですね。弦を弾くだけでとても良い音がする楽器なので、それを良い多くの人に体験してもらいたいです。

池田さん

池田 和花奈 – 箏奏者

 

茨城県出身。8歳より船橋に在住。

 

4歳より箏を、14歳より三絃を池田孝子氏に師事。

 

東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、同大学音楽学部邦楽科・同大学大学院修士課程を卒業。
卒業時に大学院アカンサス音楽賞を受賞。

 

2018年より船橋にて「池田和花奈 箏・三絃教室」を開講。

現在筑波大学箏曲部講師。

 

これまで、フランスやドイツ、ロシア・サンクトペテルブルグ音楽院音楽祭にて演奏を務める。

利根英法記念邦楽コンクール第4回アンサンブルにて奨励賞を受賞。
ルーマニア大使館で行われた日本文化イベントにて演奏を務める。

 

宮城合奏団員として「第46回NHK古典芸能鑑賞会」「NHK名曲アルバム」に出演。
宮城社師範資格取得。

 


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