【アーティスト紹介 Vol.21】 多田 ことえさん – 箏奏者

船橋にゆかりのある音楽家をご紹介。第21弾は船橋在住で市内に教室も構えるの箏(こと)奏者、多田 ことえ さんにお話を伺いました。

結婚を機に船橋に、夏見台に教室も構える

ー最初に簡単に自己紹介をお願いします

生田流の多田ことえと申します。箏の演奏活動と、自宅教室や学校の部活動などでの指導に取り組んでいます。

多田さん

ーお箏を演奏する「ことえ」さんというのは素敵なお名前ですね。こちらは本名ですか?

本名は「こずえ」なのですが、アーティストネームとして「ことえ」を使っています。師事していた先生に幼い頃につけて頂いた名前で、とても気に入って今でも使っています。

多田さん

ー船橋とのつながりは?

出身は北海道札幌市なのですが、結婚を機に船橋に移り住み、もう20年以上が経ちました。夏見台の自宅を使って個人の教室も運営しています。

ここ数年は船橋三曲協会に加えて頂いたのを機に地元の活動にも参加するようになり、千人の音楽祭やミュージックストリートでも演奏の機会を頂きました。

多田さん

そもそも箏(こと)って?

ー箏には馴染みのない方も多いと思います。楽器の紹介をお願いできますか?

箏は奈良時代に中国から伝えられた伝統的な楽器です。古くは三味線は庶民の楽器とされ、箏は格式高い人が弾くものとされていたようです。

13本の弦が張られており、約2オクターブの音域をカバーします。駒の位置を動かすことでチューニングを変えることができるのですが、曲の中で足りない音は指で弦を押さえることで音程を変えます。

多田さん

ー自己紹介で「生田流」とのご紹介がありました。箏の流派にはどんなものがあるのでしょうか?

生田流と山田流という二大流派があります。2つの流派は弦を弾く爪の形や、箏に向かう体の角度が違うので、見た目でどちらの流派なのかを判断することができます。

多田さん

ー多田さんは三味線も演奏されるのですか?

アマチュアではどちらか一方という場合もありますが、箏と三味線は両方演奏できるようにするのが基本です。

私はその箏と三味線のほか、十七弦の箏も演奏します。こちらは通常の箏よりも低い音を演奏することができます。

多田さん

5歳から始めた箏、海外での演奏経験も

ー多田さんと音楽との出会いを教えてください。

母の勧めで5歳から箏を習い始めました。本当は母自身がずっと箏をやりたかったようなのですが、様々な事情でそれが叶いませんでした。そこで、娘ができたら絶対に箏を習わせようと思っていたようです。

多田さん

ーそんなに小さい頃から取り組んでいたのですね。箏を演奏する部活動などにも所属されていたのですか?

部活には所属せず、ずっと個人で先生に師事してました。教室でのおさらい会(発表会)などでの演奏のほか、先生のお供として20代前後で中国やフランスでも演奏する機会を頂きました。

多田さん

ー海外での演奏の反応はいかがでしたか?

おかげさまで好評でした。外国の方はよほど熱心に日本のことを勉強している方でない限りは箏のことをご存知ありません。着物姿で珍しい民族楽器を弾く、という点でも注目度は高かったですね。

多田さん

育児が一段落してからプロの道へ、指導者としても精力的に活動

ー小さい頃からプロの演奏家を目指していたのですか?

いえ、札幌にいた頃はあくまで趣味の位置づけでした。なので大学を卒業してからは就職してOLをやっていました。仕事と並行してずっとお箏の教室には通っていましたが。

多田さん

ープロを目指すことになったのにはどのようなきっかけがあったのですか?

結婚を機に船橋に移り住んで、しばらくは家事や育児に追われる日々でした。そんな状況ではお箏の腕を錆びつかせないようにするのが精一杯でしたが、育児がひと段落してから首都圏を中心に活動する生田流の会に所属して活動するようになり、そこが転機になりました。

その会を通じて、様々な場所での演奏機会を頂けるようになり、これは箏を仕事にしていけるのでは、という手応えを感じるようになりました。

多田さん

ー箏の指導者としての活動にも取り組んでいるというお話がありました。どのような人を対象に箏を教えているのですか?

自宅教室には若い人からシニアまで、幅広い世代の方が通ってくれています。

その他、埼玉県の星野学園では、小学校の授業と高校の部活で箏を教えています。こちらの学校は和の心を大切にする教育方針なので、箏にもとても熱心なんです。指導している箏曲部は、2019年に日本一になったんですよ!

多田さん

船橋への想いと今後の展望

ー多田さんが思う船橋の良いところ・もっとこうだったら良いのにというポイントを教えてください。

人口が多く交通の便が良い場所ということもあり、様々な場所での演奏機会に恵まれるのがありがたいことだと思っています。

その一方で、手ごろなサイズのホールが少ないことに困ることもあります。小さくても良いので、ちゃんとした響きのホールがもっとあると良いなぁと思います。

多田さん

ー最後に、今後の多田さんの展望をお聞かせください。

箏はやってみるととても楽しい楽器です。なので箏という楽器にもっとたくさんの人に触れて欲しいと思っています。

でも今はみなさん箏に触れる機会が少ない。箏といえばせいぜいお正月に聴くくらいですよね。なので私はお箏を知ってもらう機会をもっと作りたいと思っています。そんな気持ちもあり、ふなばしミュージックストリートや市内飲食店での演奏にも参加させて頂いています。

また、アメリカの方に向けてオンライン演奏を行うことも決まりました。新しいことへの挑戦も続けていきたいですね。

多田さん

多田ことえ – 箏奏者

 

札幌市出身

五歳より箏・三絃を米田府二子師・小野衛師、後に小野正志師に師事

北海道三曲コンクール第一位受賞

札幌市民芸術祭邦楽オーディション合格

NHK邦楽オーディション合格

長谷検校熊本邦楽コンクール入賞

中国福州大学の招きにより講義・公演他、CD制作参加など国内外での各種演奏活動

星野学園小学校箏曲授業講師

星野学園高等学校箏曲部講師

生田流箏曲創明音楽会大師範

同会理事

同合奏団々員

船橋市三曲協会会員

箏曲木の花会主宰


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